胃炎(慢性胃炎)の原因と治療方法

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胃炎(慢性胃炎)について

胃の粘膜に炎症が起きた状態が胃炎です。胃炎の原因の多くがピロリ菌と言われています。ピロリ菌感染は、放置すると胃・十二指腸潰瘍や胃がんを来すことがありますので注意が必要です。その他、薬の副作用、食べすぎや飲みすぎ、ストレス、タバコの吸いすぎなどが要因となることもあります。

 

ピロリ菌とは

ピロリ菌ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリ菌といいます。胃粘膜に感染して萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、過形成性ポリープなどの原因となるといわれています。また胃がんの9割以上がピロリ菌感染が原因であると報告されています。
乳幼児期の衛生環境が原因と考えられており、一度感染するとほとんどの場合、除菌治療を行わない限り胃の中にすみ続けます。
胃の中は強い酸性なので通常の菌は生息できませんが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を持っており、ピロリ菌の周辺をアルカリ性の環境にすることができるので、胃酸を中和することで生息し続けます。
1982年にオーストラリアのマーシャルという医師によって胃の粘膜から培養することに成功し、ピロリ菌が胃の中に生息していることが報告されました。 その後、研究が重ねられ、ピロリ菌が胃炎(萎縮性胃炎)や胃潰瘍、胃がんなどの病気の原因であることが明らかにされました。

 

ピロリ菌の感染経路

ピロリ菌は経口で感染することがわかっていますが、それ以外の感染経路、予防方法はわかっていません。ピロリ菌は4、5歳以下の免疫力が弱い時期に感染するといわれています。
上下水道の普及が遅れている衛生環境が悪い国では感染率が高いのですが、日本は先進国としては例外的に40代以上を中心に感染率が高くなっています。ただ、20代より若い世代では感染率は低下しています。

ピロリ菌の関与する病気

ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こすことが確認されていますが、多くの人は自覚症状がありません。ピロリ菌による炎症が長く続いていると、胃粘膜の胃酸などを分泌する組織が消失した状態(萎縮性胃炎)になります。萎縮性胃炎は胃がんの危険因子です。健康診断の胃カメラなどで萎縮性胃炎などが観察された方は、ピロリ菌検査、除菌治療を早めに受けるようにしてください。

また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者様はピロリ菌に感染していることが多く、潰瘍の発症ならびに再発に関係していることが分かっています。

胃カメラ(胃内視鏡検査)詳しくは >
ピロリ菌の除菌治療 詳しくは >

その他の原因

他の疾患治療による薬の副作用

他の疾患を治療する際に内服する薬の副作用で胃炎になる場合があります。薬の処方を受けた際に医師の指示をよく聞いて、内服後に胃痛などの症状があった場合は早めに再来院して診断を受けるようにしましょう。

 

ストレスによる自律神経の乱れ

ストレスが継続していると、胃の働きをコントロールしている自律神経が乱れてきて、胃酸が過剰に分泌されるようになってしまいます。その多く分泌された胃酸が胃の粘膜を傷つけてしまい、胃の粘膜が急性の炎症を引き起こします。

 

食べすぎ飲みすぎ、刺激の強い食べ物やアルコール

食べすぎ・飲みすぎたり、にんにく、唐辛子などの刺激物を摂取したりすることで、急性胃炎を引き起こすことがあります。また、日常的に飲酒や喫煙、刺激物の摂取を続けていることで胃酸の分泌が促進され、胃の粘膜に急性の胃炎を引き起こす原因になります。

 

胃炎の診断・治療方法

急性胃炎の場合は、痛みの程度などの症状とともに、摂取した飲食物や内服薬について問診で詳しくうかがっていきます。
胃カメラで胃の粘膜の状態を直接観察することで、胃粘膜に発赤、腫れ、毛細血管の一時的な拡張から起こる発赤などを確認できます。

慢性胃炎の場合は、胃カメラが不可欠です。ある程度進行している場合、胃粘膜が分厚くなる肥厚や萎縮などが起こります。さらに萎縮が進むと、胃壁が薄くなって血管が透けて見えるようになります。萎縮した胃粘膜は解消できず、胃がんの発生にもつながりかねません。そのため、慢性胃炎は早期にしっかり治療を受けて治しておくことが重要です。

治療方法は、原因がピロリ菌によるものであれば、除菌治療を実施します。
除菌治療は、胃酸の分泌を抑える薬と抗菌薬を7日間服用するだけです。除菌治療の成功率70%程度です。6週間後以降に除菌がうまくいったかどうかの検査(尿素呼気試験)を受け、失敗した場合には薬を変え、2回目の除菌治療も可能です。2回の除菌治療を受けた場合、ほとんどの方はピロリ菌除菌に成功します。

その他の原因の場合も薬物治療(胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬、胃の運動機能改善薬)を行います。

胃カメラ(胃内視鏡検査)詳しくは >

胃の症状に悩んだら

下記のような症状がある方は、受診するようにしてください。
・胃の痛み、みぞおち付近の痛み
・膨満感や不快感
・胸焼けやむかつき、
・嘔吐、吐血のほか、下血
・食後のむかつき、胃のもたれ
・食欲不振